SPECIAL

SS

これは、元帥閣下である姫が皇族公務で不在の数日間、
E.G.I.Sのメンバーが今後の護衛任務向上のためのスキルアップ合宿を行った記録である――

Private Tactics Special short story File No.002担当:イン・クレーフェルト

ふぁ~……

イン……眠いのはわかるが、お前が担当だろう

だって、どっかの誰かさんが隊長との勝負に時間かけるから昼遅かったしさぁ。もう夕方だよ~?

それ見ないで寝てたの誰だよ(笑)

そういうアリスちゃんだってナイフの手入れとかしてたくせに

あ?

アリスちゃん、凄んでも怖くないよ? むしろ可愛さがアップ……わぁっ!? ナイフ抜かない!! 暴力反対!!

おい、ふざけてないで真面目にやれ~

隊長……そのだらけた格好で言っても無駄だろう

まったく、不真面目にも程があります。で、イン。お前は何をやるんだ? さっきどこかに行っていただろう

うわぁ……俺の行動把握してるとか気持ち悪いんだけど

気持ちわる……なんだと!?

過保護も過ぎるとそうなるよな

隊長!?

あーはいはい。ジン、煩いから黙っててよ

インくん、それじゃぁますますジンくん怒っちゃうから……

…………………………

あーいいのいいの、気にしない気にしなーい。一応、応用力の向上に適したものを用意してるよ

ほぉ。応用力か。大事な要素だな

瞬発力と持久力、あとは索敵も入るかもね~

……多くはないか?

まぁ、やってみればわかるよ。フィールドはこの裏の森

森? 何すんだ?

夏と言えば〝肝試し〟でしょ

……肝試し……?

肝試しか。確かに応用力、瞬発力、持久力、索敵。すべて入るな

今端末に送ったルートを通って途中にあるポイントでタグを持って帰ってくるだけのミッションだよ

平面で見るとそうでもないけど、結構高低差あるルート選んでるね

まぁね~。あ、魔法は使っちゃだめ。魔法使ったら楽勝でしょ?

あーくそっ。俺の属性有利だと思ったのによぉ

……大人げない……

あ、オレも参加するから。ちなみに肝試しにつきものの脅かし役がいるから、俺も何が起こるか知らないからね

だから魔法禁止なんだな。じゃぁ、オレは出てきたらナイフ投げて……

ナイフ投げたらだめだよね!?

固いこと言うなよ

……そういう問題じゃないよ……

当たればいいね~。まぁただの協力者じゃないから頑張って?

………………………………

あれあれ~? そこの二人なんで黙ってるのかなぁ?

べ、別に何もない!

そ、そうだよな。別に黙ってなんてないだろ

まぁいっか。一応部隊の連携も含め個々のスキルアップっていう感じらしいから、全員で出発~





……約二名が不安なんだが、大丈夫だろうか

そうですね。さっきから恐ろしく進みが遅いですし……

フロントのアリス=ローランが不安だよね~

参謀殿がどういう采配をするかも見ものだろ

……これで本当にスキルアップはできるのだろうか

リオン、それ気にしたらダメだから

そう、なのか……?

なぁ……この森ってこんなに暗かったか?

あぁ、俺の魔法でいつもより視界は悪くなってるよ~

余計なことを。僕の属性で相殺してやる!

中佐殿、魔法の使用は禁止だと言われただろ? ちゃんと言われたことは守れー

っ! くそっ……

おいっ押すなよ!!

何言ってるの、アリスちゃん。誰も押してないよ?

はぁ!? 今、オレの背中誰か押しただろ!

お前の後ろにゃ誰もいねーだろ

……ホントだ。って! なんでそんな離れて歩いてんだよ!!

フロントのお前の邪魔をしないためだ。で、いったい誰に押されたんだ?

……うわぁ、リオン鬼畜だねぇ~

知らねぇよ! さっきからたまに後ろからトンって押してくるやつがいるんだって!!

考えたくない。知りたくもない。言わなくてもいいし、さっさと終わらせたい……

ジンはなにぶつぶつ呪文唱えてんだよ

……ローランさんの勘違い。勘違いなんだ……

ねぇ、インくん。ジンくんが幽霊苦手って知っててこのカリキュラムにした?

さぁ? でも面白いかな~って思ったんだけど予想外にアリス=ローランも苦手みたいだね

苦手は克服すべきだな

……このままで終わるか?

まぁ遅くなってくれた方が、オレとしてはいいんですよね。雰囲気出るので

何やるか予想ついたわ……。お前も大概鬼畜だろ……

……一番鬼畜なのは止めない隊長だがな


To be continued