Ⅰ.FIREFLY(ファイヤーフライ)

日本語で「」の意味。
5年前の政府の実験「RUNLIMIT」の被験体の総称。

被験体の寿命は、おおよそ二十歳までと言われている。
蛍の命は七日程といわれており、タイムリミットがある彼らと
類似している為、こう呼ばれるようになった。

被験体に投与された薬は、のちに人間にとって致命的な副作用があると判明。
夜が来ると右脳と左脳の切り替わりが起こり、
理性を失った彼らは野生動物のような見境ない人格へと豹変。
己以外の者全てを「獲物」だと判断し、捕食しようとする。
また、薬の副作用によって各々が特殊な欠陥を患っており
それらは「体質」と呼ばれ、常人には無い能力を持つ。

普段は実験施設で暮らしており、一見普通の人間と変わらない。
被験体の中には、突然体内の細胞が破壊し命を落とす者もいる。
人間の肉体で耐え切れる期間に限りがある為、
精神的不安定で自ら命を断つ者もおり、非常に不安定な状態。

どの被験体が、いつ死亡してもおかしくない状況となっている。

Ⅱ.投与された「薬」

それはサメの細胞を元に開発された不眠不休の薬――。

休息の必要のない人間」を開発することを決めた政府。
薬の元となったのは、眠らない生物――「サメ」の細胞であった。
サメは眠らないで、泳ぎ続ける。止まると呼吸ができなくなり死んでしまうからだ。

しかし実際には寝ていないわけではなく、泳ぎながら片方の脳だけ寝かせることが可能。
右脳と左脳を交互に寝かせながら、休息を取っているのである。

政府はそんなサメの生態を踏まえ、
人間の脳も片方ずつ休ませる構造に作り変えれば、
眠る必要がなくなるのではないか
」という結論を生み出す。

そしてサメの細胞を元に薬を独自に開発。
結果的に、実験は失敗し、彼らは薬の副作用によって
右脳と左脳の切り替わりを引き起こし、
夜になると凶暴化する「化け物」となってしまった。