ミニドラマ「Viaggio in Montecatini Terme」シナリオサンプル
「ふふ……。街でジェラートを買ったのは初めてだ。ブルローネではあまりこういう機会がないというか、その……我慢しているんだ。冷徹で知られるファルツォーネのカポが、ジェラテリアに出入りしているなんて噂が立ったら困るからな」
「……ん。……美味いな、これ」
「い、いいのか? じゃあ、一口だけ……」
「あ、あーん……。……む、う、美味いな、これ。香りがいい。でも、もう少し甘くてもいいかもしれないな」
「あ、ホテルはもうすぐそこだが、少し遠回りしてもいいか?」
「ああ。見せたいものがあるんだ。……お手をどうぞ、シニョリーナ。エスコートさせてくれ」
「……礼を言われることじゃない。ただ単に、俺が……。おまえに触れたくなっただけだ。ここでは、周りの目を気にする必要もないしな」
「カポという立場を気にせず……ただの、おまえの恋人でいられる」
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