Vol.6 ダンテ・ファルツォーネ
Track 03 Non vedo l'ora
休憩に入ったバールで……。
「……前々から思っていたんだが、エスプレッソに砂糖を入れたところで焼け石に水だろう……」
「苦みと酸味が強すぎて、何の誤魔化しにもならない……」
「好きな人間がいるのはわからなくもないが。ニコラなんかは毎朝飲んでいるし……」
「! いや、いい。ケーキはおまえひとりで食べてくれ」
「口直しとは言っても……こ、こんなところで、そんな――」
「……確かに、今なら誰も見ていないか。……じゃあ、……あーん」
©IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY