Vol.6 ダンテ・ファルツォーネ
Track 02 Ti sta bene

休日に、手を繋いで街を歩くふたり。
ダンテは幼い頃からの憧れを主人公に話し――


「……まあ、俺としては、ただ純粋にうれしい」

「おまえとの関係を隠すことなく、こうして――手を繋いで街を歩けることが、な」

「ささやかなことかもしれない。……それでも、とても満ち足りた気持ちになるんだ」

「子供の頃に、漠然と夢見ていたものが叶ったというか……」

「たとえば好いた相手と、手を繋いで街を歩く、とか。政略の絡まない、心から好きだと思える女性に結婚を申し込むとか」

「……どれも他愛のないことだが、ファルツォーネの家に、後継者として生まれた俺には、諦めるべきものだと思っていた」

「だから、普通のことに憧れていたんだ。一緒に祝祭の夜を楽しむ、とか」


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