Vol.4 楊
Track 03 余話
店の試着室で――
「そう騒ぐな。……外で待っていても退屈だ」
「暇を持て余すくらいなら、おまえの着替えを手伝ってやろうかと思ってな」
「どうだ、俺の優しさに言葉もないか」
「さっさと向こうを向け。後ろを留めてやる」
「……なるほど。余計な露出がないところがいい、と思ったが。これは背中を見せるつくりか」
「これでは……いささか、男を誘いすぎる」
「多少は隠さねばならんな。……ああ、長いネックレスでも買うか」
「背を飾るように、真珠やらビーズやら、いくつも重ねるのが流行りなのだろう?」
©IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY