Vol.4 楊
Track 01 閑日月

1927年、シカゴ。暇を持て余した楊は手慰みに恥じらう主人公の爪を整える。


「……そう睨むな。嫌がるおまえに無理を強いているのが、それほど不満か?」

「くく……。では、一層やめられんな。なかなかどうして、ねやで遊んでやるときより、余程いい顔をする」

「近頃は嫌がる様など、滅多に見せてくれんだろう?」

「もっとも、いつまでも生娘のような反応をされては気が萎える。俺の女らしくなってきた、と褒めてやるべきか」

「……手慰みに始めてみたものの、今日の趣向は思いの外、楽しめている」

「おまえのらしからぬ顔を見られたのだからな。常とは違うことを試してみた甲斐がある、というわけだ」

「いい加減理解しただろう? これは、おまえを愛でる遊びだ。その調子で愉快な反応をして、俺を愉しませろ」


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