Vol.1 ニコラ・フランチェスカ
Track 03 Affettuoso

久々の休日を堪能した後は……


「……僕にとっては、すごく贅沢な1日だったと思う。君とふたりきりの生活なんて、なかなか送れないだろうし」

「あーあ。我儘かもしれないけど、せめて新婚の間くらい、誰にも邪魔されたくないな……」

「……まあ、儚い夢だよね。ファミリーの拠点がこっちに移れば、警備の問題だってあるし、どうしたってふたりきりってわけにはいかない」

「……僕はファルツォーネのアンダーボスだ。いつかは違う肩書きを得るのかもしれないけど、少なくともそれは今じゃない」

「マフィアじゃなければ良かった、って言うのは簡単だけど、本気でそう思えるほど、僕にとっての過去は、軽くない」

「何より、君と出逢えたのも、君と恋をしたのも」

「こうして君を守れたのも、全部……。僕がファルツォーネの人間だった、そのおかげなんだし」

「…………いや。わ、わかってはいるんだよ、本当。それでも君とふたりだけで暮らせたらなあって考えちゃうのは、仕方ないと思わない?」


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