Vol.1 ニコラ・フランチェスカ
Track 02 Giocoso
お互いのリクエストに応えて、ふたりで料理を作ることに。準備を済ませてキッチンに立った主人公を見て……
「…………」
「いや、改めて見ると、エプロン姿、やっぱりいいなあ、って」
「その、……気が早いんだけど、僕のお嫁さんになってくれたんだな、なんて……噛み締める、というか……」
「ほら、うちの屋敷だとそんな格好する機会はないでしょ?」
「そもそもバルトロは君をキッチンに入れたがらないし。だから、新鮮というか、少し懐かしい」
「一昨年、君がファルツォーネに滞在していた頃は、よくジュリアの手伝いをしていたから」
「……向こうに帰ってからも君の手料理を食べたいけど、バルトロは譲らないだろうな……」
「え? ……ああ、まあ、ジュリアに頼めば、ファルツォーネの屋敷で料理はできると思うけど」
「……でも、そうしたら、君は僕の分だけじゃなくて、他のみんなの分も作るでしょ? それは……正直、ちょっと嫌というか……」
「かわいい婚約者が、僕のために何かしてくれるのは、いつだって最高にうれしいよ? けど、他の誰かのために働かせたいわけじゃない」
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