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―――アルバム説明の中に「帝都」とありますが『ヨルガ』は昔の東京を舞台にしているのですか?
みとせ
厳密に言えば違います、て、厳密に言わなくても違うか(笑)。ええと、明治維新のあたりでエネルギー革命が起こって、そこから先の歴史や生活がリアルニッポンとは違う方向へ行っちゃった感じですね。
西洋の文化が流入してきて産業革命が起こって豊かになって、おかげで世の中安定してその後の戦争もなくて、でもどこか不穏なような。
過去の江戸〜東京、明治大正昭和初期あたりまでをモデルにはしていますが、似ているだけで世界としては別モノ、架空ニッポンです。
弘田
部分的に江戸の文化が残ってたり、昭和初期あたりの機械産業発展期のアナログなインダストリアル感があったり、大正の頃の和洋折衷の鷹揚な空気が漂ってたり、
「帝都」はあのへんの時代の文化の美味しいとこ取りをしたごった煮文化圏ですね。
―――では原案はおふたりで作られたんですか?
弘田
原案は基本みとせさんですね。私はこれも入れてよ、こんなのも入らないかなあってお気楽にやりたいことを投げただけです(笑)。
みとせ
どんな小ネタもオヤジギャグも拾いますよ(笑)。
そうは言ってももともと私もそのへんの文化が大好きなので、自分の好きなもので骨組みを構築した中に、さらに弘田さんのソースを混ぜ込んでいった感じですね。
私だけだったらここはこうならなかったなあっていう部分も出来て、まさにいろんな人が棲んでる「都市」らしい要素を持った世界観になったと思います。
―――それらの世界観を音に置き換えていく際に、特に意識していることはありますか?
弘田
ヨルガの制作で「和製レトロ」というキイワードがあるんですけど、単に大正や昭和の歌謡でそれを表現するんじゃなくて、ヒトの心の深いところに眠っている、ノスタルジックな感情を喚起するようなサウンドを作りたいなと。
みとせ
そのあたりは唱歌アルバムの『カタン』とも共有できる感覚なのかもしれませんね。時代的にも同じあたりの音楽ですし、私もそういう感覚ととらえ方が好きですし。
弘田
「片羽のコトリ」もコンセプトとして「和製」な世界観で作ろうというのがあったんですけど、単に和楽器の音を使ったり、それっぽいアレンジにして表現するのは、分かりやすいのだろうけど、表面を繕っているだけのような気がしまして。
むしろ新しいサウンドで、このような世界観を表現出来ないかな?というところが、やがてヨルガに通ずるサウンドコンセプトになっていったのかなと。
思い起こすと「片羽のコトリ」だけでなく「天の鈴」「曼珠沙華」から、その傾向がありましたけどね。
みとせ
ありましたね、敢えて古いものをそのままはやらないというか、ド直球な表現を避ける習性が。お互い天邪鬼なんでしょうか(笑)。
弘田
私がまた、そういう相反する要素を併せ持たせるのが大好きなんですよね。古い時代と未来、西洋と東洋、すごく綺麗なものとすごく怖いもの、みたいな。
ヨルガの音世界ではそういう両極の魅力をひとつに融合させていくことで、自分らしい「ヨルガ」観が表現できたらと思っています。難しいんですけどね、でもすごくやり甲斐があります。
―――ちなみに弘田さんの希望というのはどんなものでしたか?
みとせ
主人公中心で始まって事件が片付いたら終わっちゃう「物語」じゃなくて、「世界」そのもの、そのまま「棲める」ような空間を創ろう、っていうのが弘田さんの一番の希望でしたね。
弘田
私自身がいつまででもそこで遊べるような、そういう世界がひとつ欲しかっただけなんですよ(笑)
みとせ
おかげでわたしは自分の持ちネタ3作分くらいこの1作に投入しちゃいましたよ!財産3つ分ですよ〜!
出血大サービスしてご要望にお応えした分、弘田さんがしっかり音にしてくれるって信じますからね。超信じちゃいますからね!
中村
私も信じますから、弘田さん、宜しくお願いしますよ。
弘田
信ずる者はきっと救われます!(笑)
みとせ
でも弘田さんの音とアレンジはほんとに濃いです。楽曲のテーマとネタメモをお渡ししておくんですけど、上がってきた音をヘッドフォンで聴いてみると、
ぱっと聴いただけじゃ聞こえないような底の方にたくさんの音が渦を巻いていて、表面的なテーマをなぞるだけじゃない、スピリチュアルな部分が込められてたりするんです。
弘田さんのいう「視覚」って、おそらく目ではなくて魂で見えてる視界のことなんだと思います。
―――ティームエンタテインメントでは霜月はるかさんの『ティンダーリアの種』を皮切りに「コンセプトアルバム」という形態の作品を複数リリースしていますが、コンセプトアルバムの魅力ってどんなところですか?
中村
楽曲、歌詞、ストーリー、デザインなどすべてがリンクして一つの世界観を造り上げるところですかね。
情景であったり、人物であったり、聴き手が想像できるところが膨らむんですよね。色々とメディアミックス展開も考えられるし。
弘田
私はティームさんの企画では、片霧烈火さんと「キネマ・イン・ザ・ホール」を作ったり、霜月はるかさんの「グリオットの眠り姫」に参加しましたが、
個性的な世界観があって物語があって、そこに音を構築して行くという作り方は、当然ゲームサウンドクリエーターと親和性が高いんじゃないでしょうか。
みとせ
それでいうと私は左翼組ですね(笑)。ティームさんで作らせていただいたのは唱歌アルバムの『カタン』で、物語とかまるっきりなしですから。
コンセプトはすっごい明瞭でしたけど。今回の『ヨルガ』も「物語」じゃなくて「世界」とか言ってますし。
中村
いろんな「コンセプト」があっていいと私は思ってるんですよ。ストーリーでもキャラクターでも、世界観でもいい。そこに想像させる何かがあることが大事かなと思いますね。
弘田
みとせさんは歌詞の中に、素晴らしい世界観を構築されるし、さっきも話したように、それを頭の中で視覚化しやすいので、ヨルガはすごく面白いコンセプトアルバムになっていると思いますよ。
みとせ
弘田さん、褒めても何も出ませんよ。あと締め切りも延びませんからねっ!
...っていうお約束は置いておいて、弘田さんの最初のリクエストが「一生遊べる、そのまま棲める世界を」でしたので、
リスナーの方にもそのまま世界に入り込んで好きに遊べるくらいの広さといろんな個性のある場所、そしてこの路地に入ってみたい!って思わせるようなふと気になるものをあちこちに散りばめています。
毎日ふらふら散歩したくなるような、そんな世界をお届けできたら嬉しいです。
中村
私も言ってしまえばリスナーみたいなものです。このアルバム『yorlga』の世界がどんなふうに形になってくるのか心から楽しみにしてます。
―――では、後編のプレゼントを紹介して下さい。
CD「カタン」
ヨルガ「スイショウ+タンブルホルダーセット」
―――このビー玉は何ですか?
弘田
まだ秘密です(笑)。でも「ヨルガ」の世界観に関わってくるアイテムのひとつですね。
みとせ
これはわたしのコレクションの一部なんですけど、せっかくのプレゼント企画なのでこれも一緒にと思って。
このビー玉は「ネプチューン」ていいます。ネプチューン!って感じの見た目でしょ(笑)。
それに、スイショウのタンブルと、タンブルを入れ替えられるホルダーのセットです。ビー玉もちょうど入る大きさなので、気分でスイショウと入れ替えて楽しんで下さい。
首から掛けられるように、蝋引きの黒い紐と、保管用に巾着もつけておきますね。
ご応募はティームエンタテインメントyorlgaプレゼント係(yorlga@team-e.co.jp)まで 希望商品、住所、氏名をご記入の上メールにてご応募下さい。
商品の当選は、商品の発送をもってかえさせて頂きます。
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―――では、最後に一言みなさんにメッセージをお願いします。
弘田
末永く楽しんで頂けるような作品をお届けしますので、どうぞお楽しみに!
みとせ
早く皆様にお聴かせしたい名曲揃いです。試聴も早くお届けできるように、そして完成までもっともっと頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします。
中村
是非この「yorlga」を聴いていただければと思います。聴けば聴くほど味わい深く想像が膨らんで行くと思います。
二人の個性が溢れているこの作品、自信を持ってリリースいたしますので宜しくお願い致します。
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