――少女は人ではなくなった。
彼らは少女の血に溺れた。それと同時に、愛しい少女が笑ってくれる甘く幸せな夢に囚われた。
――男が言った。
これは【アナタだけに都合のいい夢】だと。
現実に起こり得たかもしれない、けれど手に入らない幸せな夢だと。
――男が嗤った。
少女の入れ物の熱を、感触を感じたいというのなら、思うままに奪えばいいと。
少女の心を壊してでも手に入れたいというのなら、その願いを叶えると。
――男が手を差し伸べた。
さあ、夢に溺れるがいい。
そこには苦痛がない。悲しみもない。劣情もない。
アナタだけの快楽があると。
偽りの幸せが崩壊して現実の絶望を知った彼らは選択を迫られる。
少女と一緒に屋敷に残るか、絶望の先の未来を信じるか――